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改訂完了 絵巻 旧約聖書 モーセ五書「申命記」新版第8巻 ニッツァービーム

  • 執筆者の写真: 石川尚寛(Naohiro Ishikawa)
    石川尚寛(Naohiro Ishikawa)
  • 1 時間前
  • 読了時間: 4分

聖書が“視える”体験──『絵巻 旧約聖書 モーセ五書「申命記」第8巻 ニッツァービーム』内容紹介


聖書を読む、ではなく“見る”


旧約聖書「モーセ五書」を誰にでもわかりやすく──。作家・石川尚寛が進めるこのプロジェクトは、そうしたシンプルな問いかけから始まった。長大で難解なテキストを、歴史背景・地理・人物関係が視覚的に追えるかたちに編集し直し、読者が直感的に理解できる体験へと再構成する。それが「絵巻旧約聖書」シリーズの狙いである。

本巻は、申命記(旧約聖書の四番目の書)を全11巻に分けたうちの第8巻。通称 「ニッツァービーム(Nitzavim)」 と呼ばれるパラシャ(週毎に朗読される律法の箇所区分)に相当する。ヘブライ語で「立っている者たち」を意味するこのタイトルは、申命記29章10節から30章20節までを範囲としている。


シリーズ全体の基本情報

  • 申命記全11巻・34章・959節

  • モーセ五書全体で187章・4993節

  • 全4993節の各節に画像を掲載(世界初の試み)

  • ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の三宗教が共通聖典とする「モーセ五書」を完全網羅


シリーズの特徴──「各節に一枚の絵」


このシリーズ最大の特徴は、聖書の各節ごとに挿絵的なイメージ画像が添えられている点である。「聖書の言葉をじっくり味わいながら読み進められ、イメージがつきやすい」と読者からも好評を得ており、文字だけでは難解な聖書の世界がマンガならスラスラ読める、という体験を実現している。

登場人物の心情や情景がイラストで表現されているため、物語への感情移入がしやすく、地図や系図、挿絵も豊富に掲載されている。イメージの湧きにくい部分も、視覚的に理解できる構成となっている。


本巻の内容──契約の「今、ここ」


ニッツァービームの範囲は、申命記29章10節から30章20節まで。モーセ五書全体のクライマックスに差し掛かるこの箇所では、神とイスラエルの民との契約が、極めて力強い言葉で繰り返し確認される。

主題は三つに要約できる。

第一に、契約共同体の再定義である。モーセはイスラエルの民を「今日、あなたがたはみな、あなたがたの神、主の前に立っている」と呼びかける。族長、長老、役人から、女、子ども、寄留者に至るまで、共同体のすべての成員が神の前に等しく立つ──この「ニッツァービーム(立っている者たち)」のイメージが、本巻全体を貫く視覚的な核となる。

第二に、「選択」という主題である。「あなたがたの神、主が今日、命と幸い、死と災いをあなたの前に置く」(申命記30:15)。これは単なる道徳的教訓ではない。イスラエルの民は「命の道」と「死の道」という二つの可能性を明確に突きつけられ、その上で、どちらを選ぶかを決断するよう求められる。祝福と呪い、従順と不従順というモーセ五書に一貫する二項対立が、この箇所で最も劇的なかたちで現れる。

第三に、そして最も重要なのは、「立ち帰り」の可能性である。民が背を向けても、心を尽くして神に立ち帰るならば、神は必ず受け入れ、再び祝福される。それは絶望的な罰の宣告ではなく、どんな状況からも回心が可能であるという希望の宣言である。

この箇所で最も有名な言葉は、おそらく申命記30章19節だろう──「わたしは今日、天と地をあなたがたの証人として呼び立てる。わたしは命と死、祝福とのろいをあなたの前に置く。あなたは命を選びなさい。あなたもあなたの子孫も生きるために」。旧約聖書の中でも最も深い神学的洞察の一つであり、自由意志と神の恵みの関係をめぐる議論の源泉となってきた箇所である。


なぜこの巻が重要なのか


申命記全体が「約束の地に入る直前、モーセが民に語った決別の説教」という枠組みを持つ。そのクライマックスが、まさにこのニッツァービームの箇所に位置する。ここで語られるのは単なる法規定ではなく、イスラエルのアイデンティティそのもの──神との契約の内側に生きるとはどういうことか──の最終的な確認である。

この巻を読む読者は、モーセの説教の熱気を、イラストを通じてより生々しく感じ取ることができるだろう。イスラエルの民がヨルダン川を渡る直前、モーセが目の前にして語る言葉の重みが、視覚的な表現によってさらに際立つ。


「新版」としての位置づけ


本巻はシリーズの「新版」である。旧版(まんが旧約聖書)からの改良点として、画質の向上、地図や系図の見直し、文字の読みやすさの改善が図られている。シリーズ全体として、創世記(全12巻)、出エジプト記(全11巻)、レビ記(全10巻)、民数記(全11巻)、申命記(全11巻)の全55巻構成であり、本書はその第8巻に当たる。

旧約聖書を初めて手に取る方にはもちろん、すでに聖書を読んだことのある方にとっても、この「絵巻」シリーズは新たな発見をもたらすだろう。言葉だけでは伝わりにくい古代の世界観がビジュアルで蘇り、聖書の物語がまるで映画のように心に刻まれる。聖書の深い叡智を、楽しみながら学べる一冊である。


YouTubeでの視聴はこちら https://youtu.be/OQYSp9uhAbM



 
 
 

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